信州・生活者ネットワークながの
小林ふみ子
まちづくりクラブ

活動報告

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3月定例会一般質問「DVと虐待を防ぐ取り組み」について

2021.03.15

市議会レポート

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質問の録画中継は長野市議会ウェブサイトからご覧いただけます。
http://www.nagano-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=3215
ふたつめの質問項目「DVと虐待を防ぐ取り組み」についての報告です。録画は1015位から始まります。
 
 コロナ禍の影響でDVを巡る問題は深刻さを増しています。
内閣府の統計によると2020年度の全国のDV、配偶者等からの暴力に関する相談件数は11月までの8か月間で過去最多の132,000件に達し、前年度を大きく上回っています。
昨年9月に内閣府の男女共同参画局に設置されたコロナ禍の女性への影響と課題に関する研究会の中で、女性クリニックWe!Toyama代表の種部恭子氏がDV被害者の現状について報告しています。その一部を紹介します。
「患者さんでDVの方は、簡単に逃げなさいと言っても逃げられないほど心の充電が足りていない状態であり、その中にいるしかない。コロナの中で仕事もないとなれば、生きるためにそこに留まるしかないという選択をしている。在宅になり加害者がずっと家にいることで、息継ぎの時間がなくなった。DV被害者は、1回殴られると、次に殴られるまでの間だけ息継ぎの時間になるという特性がある。激しい暴力があると、それからしばらくの間は静かだろうと。ところが、またちくちくといろいろなものがたまっていって、 最後にまた大きな暴力が来る。そういうサイクルを繰り返しているわけだが、これが常時居るとなると、そのサイクルが短くなる。それで息継ぎができない。
経済的な暴力。コロナの定額給付金のとき、家を出た人については、世帯主でなく本人に10万円が入ったわけだが、家で耐えている人で、私には10万円が来ないのでしょうか。という相談が非常に多かった。家庭の中にいるDV被害者がいかに多かったかということがあぶり出されたと思う。心理的な暴力というのは、暴言を吐くだけでなく、家事育児とか様々なことに対して舌打ちをするような、そういう心理的な暴力というのが非常に多く、いらいらしているせいもあるのか毎日ずっと繰り返されているという状況の中にあって、明らかに症状が悪くなっている。電話ではなかなか相談することができない状況ということだが、内閣府設置の「DV相談プラス」でも相談件数が増えている。もともと暴力と認識しても、なかなか相談につながらないというのが問題だったが、それを超えて相談したくなるほどエスカレートしていると捉えていただきたい。一方、その中で暮らしている子どもたちにも大きな変化があった。面前DVを含む虐待はエスカレートしているし、居心地が悪いので家出をする、家出をしたときに出ていく先だったネットカフェあるいは学校の保健室、そんなところがなくなってしまったので、SNSで泊めてくれと頼むと、泊めてくれる人がいる。そういうところで被害に遭ってくる人が非常に増えた。」と臨床の現場で起きていることを報告されています。

 平成30年3月の内閣府男女共同参画局の男女間における暴力に関する調査によると、女性の約3人に1人は被害を受けた経験があり、約7人に1人は何度も被害を受けたことがあると答えています。長野市におけるDVの現状と課題について質問したところ、今年度の調査結果では、DVを受けたことがあるという回答は、女性が46.7%、男性が25.8%、全体で37.7%でした。具体的な暴力として「大声で怒鳴られた。」「誰のおかげで生活できるんだ。」とか「出ていけ。」と言われた。といった回答が多かったとのこと。
 DVの考え方については、全体の6割が「どんな場合でも重大な人権侵害に当たると思う。」と回答している一方で、「人権侵害に当たる場合もそうでない場合もあると思う。」と「人権侵害に当たるとは思わない。」の回答が合わせて約15%あり、この意識の違いは大きな課題だと市は認識しています。
男女共同参画センターでは、啓発パンフレットの配布や企画講座等の開催、女性への暴力の根絶などを啓発するためのコンサート開催、女性のための相談を実施していますが、認知度が低いことも課題であるとのことでした。

 DVは、子どもの心と体にも深刻な影響を及ぼします。子どもの見ている前で暴力を振るう面前DVは、子どもへの心理的虐待です。また、DVが起きている家庭では、子どもに対する暴力が同時に行われている場合もあります。DV被害者は、加害者に対する恐怖心などから子どもに対する暴力を制止できない場合があります。面前DVを受けた子どもの心のケアについて、現状と課題を聞きました。
 心理的虐待を受けた子どもの心のケアについては、児童福祉法に基づく長野市要保護児童対策協議会において、子どもが所属する保育所、学校などの職員やスクールカウンセラー等をはじめ、子どもの居住地域を担当する保健師、子育て支援課の担当ケースワーカー、心理担当支援員が、実務担当者会議で情報を共有しながら、対象世帯への訪問や子ども、保護者への面談、カウンセリングにより継続的な支援を行っているとのことです。
 令和元年度にこの会議で心理的虐待を起因として取り扱った世帯数は109世帯(全体の総数の約25%)。この109世帯のうち面前DVと思われる世帯数は45世帯(世帯数の約41%)でした。これは、平成28年度97世帯と比較して約12%の増加で、児童虐待全体の取扱い世帯数も、平成28年度 357世帯に対し令和元年度が444世帯と約24%増加しています。このように児童虐待の増加に歯止めがかからないことと、児童虐待は外部から見えにくいために早期に発見しづらいことが課題であるとの答弁でした。

 第4次長野市男女共同参画基本計画は、2021年度までが計画期間です。
次期計画では、
①DVを未然に防止する対策
②被害者が早期に相談につながることができ、相談の場で二次被害を生まないための対策
③被害者の自立に向けた生活支援の充実と伴走型支援
④被害者と子どもの心のケア
⑤庁内関係部署や関係機関との連携の拡充
⑥加害者を治療やカウンセリングにつなげる対策 などを盛り込む必要性を市に確認しました。
市は、次期計画の策定に向けてこれまでの取組効果の検証、現状の洗い出し、課題の把握等を実施しているとのこと。昨年12月に閣議決定された国の第5次男女共同参画基本計画を踏まえてDVに関する具体的な取組について庁内関係各課や関係機関との調整を図り、実効性の高い計画を策定していきたいとのことでした。

 DVは特別な人だけに起こる問題ではありません。私たちの身近なところで起きていて、誰もが当事者になり得る問題です。夫婦げんかという言葉で片づけられてしまいがちですが、実態は全く違います。
支配する、されるという関係の中で、人権侵害がエスカレートしていくので、被害者は自分の力で逃れることができません。
子どもを虐待から守るためにも、DV被害者と子どもを守る具体的な施策を盛り込んだ計画を策定し、実施を急ぐことを強く要望しました。

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