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 4億9,418万円を一般会計に追加する補正予算案のうち「信州ブレイブウォリアーズ学生応援体験創出事業 1,674万円」と、「オリンピック施設の長寿命化等整備事業の繰越明許費補正と債務負担行為補正の総額57億4,954万1千円」について、可決すべきとした経済文教委員会委員長報告に反対の討論をし、「青木島小学校環境整備事業」については、子どもの最善の利益が守られる事業となるよう要望しました。討論の録画は長野市議会のホームページからご覧いただけます。

「議案第92号 令和5年度長野市一般会計補正予算」を可決すべきとした経済文教委員会委員長報告に対する反対討論。

 歳出 第2款 総務費 1項 7目「信州ブレイブウォリアーズ学生応援体験創出事業 1,674万円」です。この事業は、信州ブレイブウォリアーズが、令和6年1月31日に市内の大学や専門学校等の観戦希望の学生を受け入れるにあたっての各学校からホワイトリンクまでの往復バスと、2月7日に観戦希望の市内小中学校を無料で受け入れるにあたっての往復バスの運行費用を市が負担することと、住自協など地域団体等を対象とした応援バスを4台から30台に拡充するもので、総額は1,674万円です。

 長野市は、市内4つのプロスポーツチームとの連携に力を入れ、「スポーツを軸としたまちづくり」の推進に向けて、スポーツを通じた交流人口の拡大による地域経済の活性化への取組を強化し、スポーツの成長産業化、基幹産業化を実現することを目指しています。

 信州ブレイブウォリアーズは、2026年から始まる新B1リーグ「Bプレミア」への参入を目指していますが、それにはホームゲームにおける年間平均入場者数4,000人以上、年間売上高12億円、トイレの増設やプライベート空間の設置など、新アリーナ基準の要件を満たすことが必要であり、令和5年度当初予算には「アリーナ高機能化による地域活性化」としてホワイトリングの高機能化1億円が盛り込まれました。

 私は、子どもたちがプロスポーツを観戦する機会を持てることを否定はしません。多くの子どもたちが嬉しいと感じると思います。しかし、長野市では、これまで「財政が厳しい」という理由で、子どもたちの学びや体験のために必要な事業を縮小・廃止してきた現実があります。それぞれの学校が、独自に創意工夫して行う学習活動に使える「学校マイプラン」の補助金は、今年度は各校年額4万5千円から4万円に減額されました。すべての小中学校で行われていた小学校3年生から中学校3年生までの全児童生徒対象の一人300円の芸術鑑賞音楽会補助金は、令和元年に廃止されました。

 また、学校の施設整備の遅れも深刻です。特別教室のエアコン設置やトイレの洋式化なども「財政が厳しい」という理由で進めることができていません。子どもたちが学校で学ぶために必要な予算が全く足りていないような状況で、子どもたちのためというより、上位リーグ参入のために動員するような形で公費を投入することに疑問を感じずにはいられません。以上の理由で、この事業には反対です。

 歳出 第10款 教育費 2項 2目「青木島小学校環境整備事業」への要望。

 一般質問でも委員会審査においても、青木島児童センターと子どもプラザの統合の時期については、工程表にとらわれず、柔軟に関係者の声を聴いて進める、と答弁がありました。

 青木島小学校の保護者の方から直接、お話を聞く機会がありました。「市から、多目的棟ができたら児童センター子どもたちを移動させるという説明を受けたが、多目的棟は低学年の子供たちが放課後を過ごすのには無理がある環境だと思う。児童センターでは、中庭に雲梯や砂場を整備してもらって楽しく遊べているし、遊戯室で体を動かすこともできる。トイレや手洗いの設備も整っており、疲れたら休むスペースもある。低学年の子どもたちが放課後を過ごす環境として相応しいプラザ棟が建つまでは、今ある児童センターの建物で過ごさせてほしい。」とのことでした。

 子どもたちや保護者の方の意見を誠実に聴いて「子どもの最善の利益」を守ることを改めて要望しました。

 オリンピック施設の長寿命化等整備事業 第2表 繰越明許費補正 10款 教育費 6項保健体育費 アクアウィング飛散防止フィルム張替事業、長野運動公園総合体育館外整備事業、南長野運動公園フットボール場外整備事業、オリンピックスタジアム人工芝張替事業。第3表 債務負担行為補正 エムウェーブ長寿命化改修事業費。以上の合計は57億4,954万1千円です。

 教育費に占めるオリンピック施設関連経費の割合が増加しています。当初予算に市長が掲げた「未来へのチャレンジ」。『「子育て・教育・若者の活躍」を中心に据えて、教育関係予算を重点的に確保した。』と3月定例会で市長は答弁されましたが、その重点配分の多くが、プロスポーツや国民スポーツ大会に振り向けられています。その一方で「学校マイプラン」の減額など、子どもたちの学びに必要な予算が減額されました。

 オリンピック施設の維持管理費は年間10億円を超え、今後10年間にかかる改修費は概算で200億円に上るとされますが、物価の高騰などで事業費はさらに増加するでしょう。10月臨時会でも、ビッグハット長寿命化改修工事設計業務委託事業費を2億2千87万円に増額したばかりです。

 今後本格化する公共施設長寿命化対策と、スポーツ施設整備などの普通建設事業費は、年間350億円から370億円で推移し、令和7年度以降は、年間30億円から40億円の財源不足が見込まれています。少子高齢化で市民が減少する長野市において、大規模施設への投資が身の丈を超えているのは明らかです。

 大型の公共事業を重ね、地方債を乱発し、地方債残高を積み上げ、後年の公債費の割合を高める財政運営によって、市民生活に必要不可欠な施策が、縮小・廃止され、市民負担が増えています。オリンピック施設に係る費用は、市の財政に重くのしかかる巨額の負債です。私たちは、この現実を直視し、老朽化した最大市有施設であるオリンピック施設をダウンサイジングや廃合していくことが、将来世代に負担を先送りせず、より良い資産を次世代に引き継ぐための近道です。施設規模の維持継続を前提にしたオリンピック施設の長寿命化・高機能化には反対です。

 討論後の採決の結果、補正予算案は可決しました。今後も長野市の財政について調査を続けながら、持続可能なまちづくりを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

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