12月20日の定例会最終日は、議案の討論と採決がありました。議決の結果はこちらからご覧いただけます。
採決に先立って、委員会審査において、議案を採択すべきとした委員長の報告に対する賛成討論を2件、反対討論を1件行いました。
まず初めに議案第113号「長野市勤労者女性会館しなのき設置及び管理に関する条例の1部を改正する等の条例」を採択するものとした総務委員会委員長報告に賛成の立場で討論しました。討論の録画中継はこちらからご覧いただけます。
この条例改正により、これまで市が直営で行ってきた男女共同参画センターの管理運営を、令和4年度からは、勤労者女性会館しなのき指定管理者に委ねることになります。ただし、これまでの男女共同参画センターのすべての業務を指定管理者が担うのではなく、政策的に力を入れる部分~「男女共同参画に関する講演会・シンポジウムを開催すること」「男女共同参画に関する情報を収集し、提供すること」「男女共同参画に関する市民活動を支援すること」「女性のための相談に関すること」については引き続き、人権・男女共同参画課が担う、とされています。指定管理者と人権・男女共同参画課が協働することで、男女共同参画センターが、性別に関わらず誰もが尊重しあい、個性と能力を発揮することができる長野市の実現に向けて、市民が学び合い活動できるエンパワメントの拠点として、これまで以上に、機能していくことを期待します。
内閣府が公表した2020年度版の「男女共同参画白書」を見ますと、コロナ禍で非正規労働者を中心に雇用情勢が急速に悪化する中、その影響が男性に比べて女性により重くのしかかっている実態が浮かび上がっています。また、配偶者による経済的・精神的DVの相談件数や女性の自殺者が増加するなど、女性の中でも、ひとり親世帯や貧困層にある人への負荷がより大きくなっている、日本のジェンダー不平等の実態が改めて明らかになっています。
こうした実態を踏まえ、男女共同参画センターで充実していただきたい機能の一つが「相談事業」です。男女共同参画センターにおける相談事業の役割は大きく二つあります。まず、「相談者をエンパワメントするということ、つまり、相談者が自尊感情を回復し、相談者が持っている力を発揮して問題解決に向けて行動していけるように寄り添うこと」です。更に、「ジェンダーの視点から相談をとらえるということ、つまり、相談から家族や社会の環境などの潜在的課題を掘り起こし、社会に広く発信し、課題解決につながる事業の実施につなげること」があります。
男女共同参画センターに寄せられる相談の内容は多岐にわたりますが、策定が進められている第5次長野市男女共同参画基本計画案にも記載されているように「DV被害者に対する相談体制の整備、充実」は最も急がなければならない重要な課題です。
現在、長野市でDV相談の窓口となっているのは、子育て支援課と福祉政策課の篠ノ井分室、そして男女共同参画センターです。
男女共同参画センターでは、産業カウンセラーの資格を持つ3名の女性相談員が相談に対応しています。DVに関する相談を受けた場合は話を聴き、必要に応じて子育て支援課や他の機関に繋ぐことになります。相談者の中には何度もつらい話をしなければならないことに苦痛を感じる人もいますので、細かな配慮が求められる難しい役割を担っています。
DV相談は、法律上「婦人相談」にあたるので、こども未来部の管轄であり、子育て支援課が福祉事務所となっていることから取りまとめは子育て支援課となっています。しかし、子どもがいる人は子育て支援課への相談に繋がりやすい一方、子どもがいない夫婦間のDV、交際中の相手からのDV、年配の人のDVについては、相談先が隙間になっていて、この方たちがどうなっているのかが子育て支援課ではつかめない状況があります。また、子育て支援課が福祉事務所となってはいますが、生活困窮、福祉サービス等々、様々な問題を子育て支援課で全て担うことは出来ず、それぞれの課で対応するしかない状況があります。更に、子育て支援課と福祉政策課の篠ノ井分室には女性相談員が1名ずつしか配置されていないことにも大きな課題があります。相談員を増やして対応していく必要があります。
今回の条例改正を機に、長野市の相談事業の課題を洗い出し、関係各課の役割分担や連携のありかたを検討して、DV被害者が少しでも早い段階で相談でき、被害からの回復、生活の再建に向けた支援を受けることができるように体制を整備されることに加えて、男女共同参画センターにおいて、女性のための相談だけでなく、男性のための相談、性の多様性に関する相談体制を整備することを要望しました。