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 市内の勤労者福祉施設の再編と整備が進んでいます。この条例案では、新たに設置される「南部勤労者活躍支援センター」の利用料が示されました。勤青ホームの同じような用途の部屋の利用料と比べ高額な設定で、市民が使いづらい施設となってしまいます。公共とはなにかに関わる問題です。この条例を可決すべきとした経済文教委員会委員長報告に対して反対討論を行いました。討論の録画は長野市議会ホームページでご覧いただけます。

議案第105号「長野市南部勤労者活躍支援センターの設置及び管理に関する条例」を可決すべきとした経済文教委員会委員長報告への反対討論 

 長野市は、市内の勤労者福祉施設について、「少子高齢化や人口減少社会を迎え、余暇の充実だけでなく行政として取り組まなければならない課題~安定した雇用の確保、働き方改革推進、男女共同参画推進、健康増進など~に対応する機能を有した施設へと転換する必要がある」として、「北部・中部・南部勤労青少年ホーム」「中高年齢労働者福祉センター」「柳町働く女性の家」「南部働く女性の家」「勤労者女性会館しなのき」を、「勤労者活躍支援センター」として再編し、施設整備を進めています。

 今回の条例案では、新たに設置される「南部勤労者活躍支援センター」の利用料が示されています。この南部活躍支援センターと、これまでの勤青ホームの同じような用途の部屋の利用料を比較してみると、

勤青ホームの講習室は9時から17時640円 17時から21時30分960円であるのに対し、活躍支援センターの会議室は9時から12時770円 13時から17時1100円 18時から21時30分1430円

勤青ホームの料理実習室は9時から17時960円 17時から21時30分1460円。活躍支援センターの料理実習室は、9時から12時2310円 13時から17時3190円 18時から21時30分3960円。

勤青ホームの体育館は9時から17時1670円 17時から21時30分2610円活躍支援センターの多目的室は9時から12時2200円 13時から17時2970円 18時から21時30分3960円。

 長野市は、公共施設は「原則利用者が維持管理費の2分の1負担」という考えを取っており、新たな勤労者活躍支援センターの利用者負担もそこから導きだされた料金です。しかし、この考えは見直さなければいけないのではないでしょうか。今回のこの議案は、「公共の役割は何か」ということに関わる問題だと思います。

 いま、生活が厳しくなっているという実感を強く持っている方は増えています。実質賃金も下がり続けています。そのような状況の中、長野市においては、少年科学センターに代わり設置される「ながのこども館」や城山公園駐車場についても、これまでより大幅に負担が増える料金設定が示されています。このままでは、多くの市民の居場所がなくなっていってしまうと強く懸念します。

 経済的に余裕のある人のための施設は、民間がすればよいことです。市民誰もが利用できる、人と交流できる、学べる、楽しめる場を充実させていくことこそが行政の役割です。「維持管理にお金がかかるから受益者負担を」と言いますが、市として何にお金を使うのかの優先順位の問題ではないでしょうか。このままでは、経済的に余裕のない市民は利用できない公共施設が増えていってしまいます。

 働く女性の家や勤労青少年ホームは、多くの利用者の方たちにとって、かけがえのない場でした。再編が進み新しい施設が出来たら、そこをこれまでのように利用したい方はたくさんいます。しかし、この料金設定では、それが叶わない方も出てくるのではないでしょうか。これでは、今までそこで育まれてきたコミュニティも失われてしまいます。長野市は、今一度、本来の公共の役割を真摯に考え、市民ひとりひとりが人生を豊かに生きるために、人とつながり地域で生き生きと暮らせるために必要なところにお金を配分するべきです。

 討論後の採決の結果、条例案は可決されました。市の公共施設は、市民生活のために市民から集めた税金を使って作る市民みんなの施設です。行き過ぎた利用料金負担の結果、市民利用が制限されれば、公共施設のあたりまえの役割が果たせません。市民が時間をかけて育むコミュニティは、分断されたら簡単には再生できません。引き続き公共施設のあるべき姿についてみなさんと一緒に考え、提案していきたいと思います。

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