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活動報告

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 10月臨時会に上程された議案は、すべて賛成数で可決されました。今回、議案醍90号 長野市一般会計補正予算の債務負担行為補正「ビッグハット長寿命化改修工事設計業務委託費」を2億2千87万円に増額することに反対する討論を行いました。この議案に反対した議員は 代理人山﨑ひろこ ひとりでした。

 大型の公共事業を重ね、地方債(市債=借金)を乱発すれば、地方債残高(市債残高=借金残高)が積みあがり、後年の公債費(借金の返済)割合を高め、財政運営がより厳しくなる結果を招きます。負担が身の丈を超えれば、市民生活に必要不可欠な施策であっても廃止せざるを得ない事態が起こるでしょう。この行財政運営の結果を引き受けるのは長野市民です。

反対討論の録画中継は長野市議会ホームページからご覧いただけます。

以下反対討論全文)3番 山﨑裕子です。
 議案第90号「令和5年度長野市一般会計補正予算」を採択すべきとする経済文教委員会委員長報告に反対の立場で討論します。令和5年度長野市一般会計補正予算 第一表 債務負担行為補正 ビッグハット長寿命化改修工事設計業務委託事業費を2億2千87万円に増額すること。これはエムウェーブ、アクアウィング、南長野運動公園に続く、ビッグハット長寿命化改修工事のための設計業務委託事業費です。

 増額の理由は、
・7月に発注し入札を進めたが建設当時の設計事業者が入札に参加せず見積もりと積算を一からやり直したこと
・新たに見積もりを依頼した業者は、スケート場設計の経験はあるが、ビッグハットと同様の施設は経験がなく、初めてで時間がかかること
・建設瑕疵が見つかった場合、それが設計当初のものであるか改修時のものであるかわからないリスクがあること です。


 市は長野冬季オリンピックの大会会場であった施設はいずれも特殊な構造の大空間を持つ大規模施設のため、改修には構造安全性の検証など高度な設計技術力やノウハウが求められるとしています。年間の維持管理費は10億円を超え、統廃合が進む他の施設とは対照的にボブスレー・リュージュパークを除くオリンピック施設は長寿命化改修をする計画です。今後10年間にかかる改修費は概算で200億円に上るとされますが、建設資材価格の高騰と労務単価の上昇が相まって建設事業費がさらに増加することが予想されます。


 先日、令和5年度から9年度までの長野市財政推計が示されました。令和5年度以降はコロナ禍からの経済活動の正常化などにより市税の増収が見込まれる一方で、市債は62億円から202億円に増加。令和7年度以降本格化するオリンピック施設をはじめとする公共施設長寿命化対策経費と令和10年の国民スポーツ大会に向けたスポーツ施設整備などの普通建設事業費は年間350億円から370億円で推移し、令和9年度末は令和4年度末と比較して235億円の増加。その結果、令和7年度以降は財源不足が年間30億円から40億円見込まれるため、財政調整等3基金の取崩し額が増加し、令和9年度末は令和4年度末と比較して同3基金の残高が約5割減少するとともに、市債残高は98億円の増加。
急速な人口減少と少子高齢化が進み、社会保障関係経費が増加の一途をたどる中で、これらの施設整備が本格化していく非常に厳しい推計です。
 
 市は、スポーツを軸としたまちづくりを掲げています。大規模な施設改修を「スポーツを基幹産業にして経済を活性化させる投資」と位置付けています。しかし、平成26年に市が20歳以上の市民5千人に対して行ったアンケートで「いずれは老朽化による大規模改修や更新(建替え)の時期を迎えることになりますが、オリンピック施設の将来について、どのようにお考えですか。」の問いに対して、すべての施設をできる限り存続させると答えた市民は3.3パーセントでした。厳しい財政運営と引き換えの改修であることを市民に丁寧に説明しなくて良いのでしょうか。

 市民のみなさんのお話を聞くなかで、長野市には身近な場所に小規模な体育館があり、気軽にスポーツに親しめる環境が整っている。利用者が多く、健康増進や地域づくりなど、市民にとって大切な施設であることがわかりました。誰でも気軽に地域でお金をかけずにスポーツができる環境は長野市の宝であることに気づきました。大規模な施設は市民が気軽に使える施設ではありません。暮らしに身近な施設こそ充実すべきではないでしょうか。

 長野市子どもの生活状況に関する実態調査では、困窮家庭やひとり親家庭の子どもほど外出や文化的な活動への参加機会が少ないことが明らかになりました。また、支援が必要な保護者が子どもとの時間を十分とることが難しい状況もうかがえます。台風19号災害や新型コロナ感染症の影響を受けて就労や生活状況が厳しくなっている家庭があり、子どもの生活にも影響を及ぼしていることが明らかになりました。物価の高騰などにより以前にも増して厳しい生活を強いられている家庭があることは想像に難くありません。コロナ禍前に社会が戻る中で、市の財政規律を理由に家庭負担が増えることがないように、まずは投資的な経費を最優先に見直す必要があると思います。

 長野市の将来人口推計では、令和4年の36万7,787人から令和9年には35万8,556人へと9,231人減少します。64歳以下が1万2,568人減り、65歳以上が3,337人増える内容です。急速な人口構造の変化がもたらす経済規模の縮小に備える賢い行財政運営が求められます。先月公表の「長野市公共施設の現状2023」によれば、公共施設の総量は前年度と比較して4千平米減少したにもかかわらず、市民一人当たりの延べ床面積は増える結果になりました。将来にわたって豊かな地域生活を送るために、市民の「負担」ではなく「財産」として維持できる公共施設の在り方を行政と市民が一緒に考えることが急務です。その先に魅力あるまちづくりの基盤ができ、地域経済の好循環が生まれるのではないでしょうか。
以上を理由に、議案第90号には反対です。議員のみなさんのご賛同をお願いし、討論を終わります。

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