学校図書館について質問しました。調査に協力をして下さった皆様、誠にありがとうございました。
質問の録画中継は長野市議会ホームページでご覧いただけます(こちらをクリックorタップ)。
「本を読んで感動した。元気になった。世界が広がった。」本は多くの人に豊かな内面と生きる力を与えます。特に子どもの成長・発達には大きな栄養となります。また「読む力」は「学ぶ力」の基礎となります。本を読むことで「読解力」が養われ、「考える力」「書く力」「人に伝える力」が付いていきます。
学校図書館は、家庭の経済力や地域格差など、子どもの置かれた状況に関係なくすべての子どもに公平に、本に触れる機会をもたらし、「学び」と「育ち」を支えています。
新学習指導要領では、学校教育を知識注入型から「主体的・対話的で深い学び」に転換する方向が示されています。「学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、児童生徒の主体的・対話的な学びの実現に向けた授業改善に生かす」とされ、全国各地の学校現場では試行錯誤が重ねられています。
質問1
長野市立の小中学校における「主体的・対話的で深い学び」の取り組みはどのように進められているのか。また、取り組みを進めるにあたり、どのような課題があるか質問しました。
教育委員会の答弁
児童・生徒自身が生活体験や興味関心から課題を見つけ、自分なりの方法を選択し、他者と協働しながら見通しをもって解決に向かう授業改善が進むよう、教育センター研修講座や学校訪問支援などを通じて教職員の理解を深めるとともに、実践的な授業研修を通して指導助言を行っている。課題のひとつは、学びを深めるという点から一層授業改善を進めていく必要があること。もうひとつには、昨年8月に配備が完了した児童・生徒1人1台端末を、主体的・対話的で深い学びの視点で、どのように有効活用していくかが課題。
質問2
「主体的・対話的で深い学び」には、自分でテーマを決めて情報を収集し、考え、まとめ、発表する「調べ学習」が欠かせません。この学習を支えるには、司書教諭、学校司書、学級・教科担任の連携が重要です。
学級・教科担任が立てた指導計画を基に、司書教諭と学校司書が、自校にどの程度資料があるか調べ、足りない資料を計画的に購入したり、公共図書館から借りたりして資料を揃えます。
しかし、司書教諭は担任を持つなど多忙であり、学校司書は勤務時間が短いという課題があるのではないでしょうか?また、調べ学習には百科事典、図鑑などが必要になりますが、必要な資料を購入する予算は足りているでしょうか?
教育委員会の答弁
司書教諭は担任などと兼務し、専任配置ではないことから、学校司書が学校図書館の業務の担うことも多く、勤務時間が不足しているとの声が寄せられている現状もある。そこで、学校によっては蔵書など学校図書館メディアの整備を教職員全体で行う場合もあり、今後、多くの教職員が関わって学校司書の業務を支援して、学校司書の負担軽減につながるよう指導していく。また、専任の司書教諭の配置について国や県に様々な機会を通じて働きかけたいと考えている。
図書購入費については、学校数や学級数に応じて必要な図書を選定して購入できるよう毎年相応の額の予算を配分している。また、廃棄などにより、蔵書冊数が図書館標準冊数に達していない学校には、予算を追加して配分している。百科事典セットは高額なため、学校間で貸し出しができるよう工夫している。来年度予算において、一部だが、予算を計上した。
質問3
司書教諭や学校司書から、調べ学習を進める上での課題をヒアリングして、各学校の努力だけでは解消できないことについては教育委員会として対応していく必要があるのでは?
教育委員会の答弁
学校長がリーダーシップをとり、学校司書も交えて研究主任をはじめとする校内関係担当教員との意見交換をする場を設けるよう助言する。しかし、学校だけでは解決できない課題については、国の第6次学校図書館図書整備等5か年計画にある学校図書館担当指導主事の配置等について研究していく。また、年6回程度開催している学校司書の研修会の折に、司書教諭や学校教諭の声を聞く機会を設け、課題解決に向けて共に考えている。
答弁をうけて
学校図書館には、大切な3つの機能があります。
まず「読書センター」としての機能。すべての子どもに本を選んで読む経験、読書に親しむきっかけを与え、様々な本を紹介して、読書の楽しさを伝えます。そして「学習・情報センター」としての機能。授業で学んだことを確かめ、広げ、深める資料を集めて読み取り、自分の考えをまとめて発表するなどの学習活動を支援します。情報の探し方、資料の使い方を教え、学習に使用する資料を用意し、活用できるようにします。
さらに「教員をサポート」する機能。教材として使える図書などを集めて教員が使えるようにしたり、レファレンスや取り寄せなどのサービスを行います。
子どもたちが「主体的・対話的な学び」を実践するためには、この学校図書館の機能が必要です。これまでも計画的に学校図書館の充実を進められていますが、新学習指導要領に対応するためにはまだまだ課題があると思います。司書教諭や学校司書など現場の方と課題を共有して、子どもたちが学べる環境を整えていただくよう要望しました。
質問4
学校図書館の新聞配備について
文部科学省は「第6次図書館5か年計画」を策定し、公立小中高校全てで図書館に新聞を複数紙置くよう都道府県教育委員会に通知。必要な財政措置を講じました。これは、選挙権年齢の18歳以上への引き下げや、令和4年度からの民法に規定する成年年齢の18歳への引き下げに伴い、児童生徒が発達段階に応じて現実社会の諸課題について多面的・多角的に考察し、公正に判断する主権者として必要な資質・能力を身に着けるための措置であり、目安とされる部数は1校当たり小学校2紙、中学校3紙、高校5紙とされています。
文部科学省の調査では、2020年5月時点で、児童生徒の閲覧用として図書館や教室に新聞を置く公立小学校は56.9%で平均1.6紙、公立中学校は56.8%で平均2.7紙、公立高校は95.1%で平均3.5紙でした。長野市立の学校図書館における新聞配備の現状は?また、令和4年度の小中学校への新聞配備の計画と予算は?
教育委員会の答弁
昨年9月時点で、児童・生徒の閲覧用として小学校が63%で平均1.2紙。中学校では92%で平均1.6紙。市立高校では4紙配備している。令和4年度当初予算に市立の全小・中学校の学校図書館に子ども新聞を配備できる費用を計上した。また市立高校にはこれまで通り配備できる費用を計上した。さらに各校における新聞の活用状況を検証したり、学校司書を含めた教職員の意見を参考にしながら、計画期間内に目標配備数を達成できるようにしていく。
答弁を受けて
各学校のカリキュラムや年間指導計画によって、必要な新聞は変わってくると思います。司書教諭や学校司書など現場の方の意見をよく把握して対応しながら、各学校で目安とされる部数が配備できるよう要望しました。