最初の質問は「勤労者福祉施設の再編について」です。
【問1】長野市は、他市と比べて体育館の数が多く、利用している方から「体育館が身近にあることでスポーツを続ける事が出来、利用も盛ん。引っ越しや単身赴任で来た人にうらやましがられる。長野市に市民が気軽にスポーツに親しめる環境があることが誇らしい。」とお聞きました。
中山間地の一部を除き体育館の稼働率は非常に高く、とても必要とされていることがわかります。しかし、申し込みが多いため社会体育館は予約を取るのが難しい状況で、市民のニーズに対して使える体育館が十分であるとは言えません。
勤労青少年ホームの体育館の利用者や職員の方のお話では、ほかの体育館は予約や鍵の受け渡し、平日昼間の会議など、働いている方には利用が難しい条件があり、勤労青少年ホームに体育館があることでスポーツが出来ている方は多いそうです。
2~30代の若い方たちの利用も多く、同じ趣味を持つ異業種の人たちとの交流の場となっており、ここで出会って結婚したという方たちもいらっしゃるそうです。また、近所に住む高齢の方にとっては、歩きや自転車で通えて仲間と楽しみながら健康を維持できる場であるとのこと。勤労青少年ホームの体育館は、働く世代の健康増進、利用者の方たちのコミュニティづくり、若い世代の出会いの場でもあり、勤労者福祉のみならず、少子高齢化、地域づくり、健康増進など、長野市の抱える課題にも大きく貢献している、市民にとって大変意義のある施設であることがわかります。しかし、勤労者福祉施設再編方針の中で、北部・中部・南部の勤労青少年ホームの体育館は廃止とされています。このように大切な施設を廃止するのはなぜなのか質問しました。また、廃止した場合、今までここを使っていた方たちが困ることが無いよう現在の利用者の方たちが、どこでスポーツを続ける事ができるのか、具体的に検討をされたのでしょうか?検討されたとしたら、それを利用者に示し、納得を得るということはなされたのかも併せて問いました。
<答弁の要旨・商工観光部長>
施設の老朽化で、維持のためには建て替えなど多大な費用が必要になる。存続させることは、将来世代の負担になる。より良い資産を次世代引き継ぐための在り方を見直すなかで、行政として余暇の充実、働き方改革推進・両立支援などに対応した施設へと転換する必要があるため、勤労者福祉施設と男女共同参画施設の7施設を一体化した(仮称)勤労者活躍支援センターに改変する。これらの新たな施策には勤労青少年ホームの体育館は必ずしも必要でないと考える。体育館の廃止は令和6年度末までに段階的に実施する。それまでの間は、現在同様に使用可能。その後の勤労青少年ホーム主催の体育館講座は別の場所で継続し、貸館やクラブ利用は他の体育館への移行を案内する。サンライフながの の利用コマ数を細分化し、勤労青少年ホーム体育館利用者の一部を受け入れることも可能。利用者への説明は7月に再編方針案を示し、8月の日中夜間に説明会を実施した。
【問2】「第5次長野市総合計画後期基本計画(案)」に、市長は新たに「健康と心の豊かさの増進」を掲げ、「心身ともに健康で充実した生活を送り続けることが出来るまちを目指します。」と追加されました。「政策4 スポーツを軸としたまちづくりの推進」の「施策1 だれもがスポーツを楽しめる環境づくりの推進」には、「子どもや、仕事・家事・育児等で忙しい世代、高齢者など各年代やライフスタイルに応じて、スポーツを身近に感じ、楽しめる環境を整備する必要がある」とあります。まさにこれを実現している施設である勤労青少年ホームの体育館は、より利用しやすくなるように整備し大切に使い続けるべきと考え、質問しました。
<答弁の要旨・市長>
老朽施設の再編は避けて通れないと考えている。再編は段階的であり、軽い運動スペースを拡充する。ご理解をいただきたい。
【問3】勤労者福祉施設再編により、北部と中部勤労青少年ホームは統合し建て替え、南部勤青ホームは解体し、南部働く女性の家の建物を増改築。そしてこの2つを「仮称 勤労者活躍支援センター」とする方針が示されています。この新たな施設は、実際にどのようなニーズのもと、どのような人が、どのように利用することを想定しているのか。それは既存の施設ではできないことなのか、新たに建物を作る必要のあることなのかの検討は行われたのか。検討をしたのであれば、その内容の説明を求めました。また同時に今回の再編について、今まで利用者がここで得ていたもの、スポーツを楽しんだり学んだりすること~つまり健康で文化的な生活~をどう保障するのかも質問しました。
<答弁の要旨・商工観光部長>
新たな施設は対象者を広げ、セミナーや相談会、テレワークできるスペース、就労支援、男女共同参画など、より幅広い利用へと転換していく。健康増進・フレイル予防の観点からニーズの高い軽運動の場所の提供を行っていく。
【問4】公共施設マネジメントは、少子高齢化の時代にいかに賢く縮小し、市民が豊かに充実した地域生活を送ることが出来るか、という視点を基盤に置くべきであって、目先の経費削減を追求するものであってはならないと思います。縦割りの発想から脱して今ある施設を効率的にどう活かせるかを、住民とともに柔軟に広い視点で考えることが必要です。その上で新たな施設が必要となった場合は、それが市民のニーズに合った、市民にとって使いやすいものになるために、時間をかけて幅広く検討を行い市民が納得する施設にすることが、これからの世代に「負担」ではなく「財産」を残すことなのではないでしょうか。
新たに計画されている勤労者福祉施設は、健康増進、フレイル予防、出会いの場、生きがい、人とのつながり~こういった長野市が進めようとしているさまざまな施策に繋がる、これからますます大事にしなければいけないことを実現出来ていた今の施設に代わるものとしてふさわしいのか、市民の必要に応えているのか。私にはそうとは思えません。今回の再編について、進め方や内容を再考するべきと考えます。これについて市の考えを聞きました。
<答弁の要旨・市長>
公共施設マネジメント指針に基づいて進めていく。
【市長の答弁を受けて】
長野市は他市と違い、オリンピック施設という大規模施設をたくさん持っています。でも、それは市民が気軽に使えるものではありません。そこに予算をかける一方で、これだけ有益な施設を「他にも体育館はあるし、古くなったから廃止」とする公共施設マネジメントは方向性が間違っています。市民が身近に利用できる大切な施設こそ充実させることを要望しました。
次に「学校施設の維持修繕について」です。
【問1】毎年4月、各校から教育委員会に「学校施設改修要望書」が提出されます。毎回多くの要望が出され、その中には子どもたちの安全や健康、教育の保障に関わるものも数多く見受けられますが、優先順位を高くあげても改善されず、毎年要望が出され続けているものもたくさんあります。
先日、大岡小中学校の体育館を見せていただく機会がありました。写真をご覧下さい。この時は雨が降った後で、20個ほどのバケツが置かれている状況でした。厄介なことに、この雨漏りはその時々で場所が違い、雪解けのときなどは予測不能ということでした。子ども達の授業への影響はもちろん、大岡中では部活がないので休み時間に体育館で身体を動かすことは貴重な機会ですが、それも奪われてしまうということが起きています。
大岡小中学校は1つの例であり、長野市全体で子どもたちが教育を保障され、安心安全に過ごせる環境が整っていない現状です。このことをどのようにお考えか質問しました。
また、「長野市学校施設長寿命化計画」では、日常的な点検により不具合を早期に発見し対策を講じて老朽化の進行や他の設備への影響拡大を防ぐことで結果的に維持管理費用を抑えるために、日々の維持修繕工事等について早期に適切に実施することを目指す。」(P38)としていますが、これが実現されていないことについてどのように対応していくか質問しました。
<答弁の要旨・教育次長>
平成19年度耐震補強工事の際に屋根の全面塗装を実施したが、雨漏れについては屋根の葺き替えが必要となり、多大な費用がかかる。部分補修して効果が得られるか検証している。
【教育次長の答弁を受けて】
子どもにとっては1年1年がすべて貴重な時間で、待ってもらうことは出来ません。きちんと予算付けをし、早急に対処することを改めました。「大岡小中学校体育館の様子」質問時に使用した資料はこちらからご覧いただけます。
長野市の体育施設についてのアンケートにご協力下さった皆様ありがとうございました。
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