信州・生活者ネットワークながの
小林ふみ子
まちづくりクラブ

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6月定例会一般質問「出産前後のお母さんを支える仕組み」について

2021.06.20

市議会レポート

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産前産後のお母さんをサポートする事業をされている方のお話をお聞きしたのが質問のきっかけでした。生活クラブ長野3支部の組合員さんに体験談や長野市の産後ケア事業についてご意見をお聞きしたり、助産院や子育て支援施設の方々にお話を伺い調査をしてきました。ご協力をくださった皆様ありがとうございました。
インターネット録画中継はこちらからご覧いただけます

 最初の項目は産褥期の支援についてです。
産褥期というのは、妊娠・出産のダメージから母体が回復するまでの期間。
妊娠・出産は母体への負担がとても大きく、出産直後は子宮を大けがしている状態とも言われます。
健康な状態に回復するためには十分な休養が必要です。しかし出産と同時に赤ちゃんのお世話が始まります。
生後1か月までの赤ちゃんは2時間程度しか寝てくれません。夜も昼も関係ありません。赤ちゃんが泣いたらおむつを替えて、授乳をして、またおむつを替えて、寝かしつけて、ようやく寝てくれたら、おむつを片付け、哺乳瓶を消毒し、少し横になろうと思ったら、また赤ちゃんが泣く。その繰り返しです。睡眠不足の極限状態が毎日毎日続きます。体はくたくた、頭はぼーっとしてきます。一方で赤ちゃんの生命は自分が守らなければ、という緊張感は途切れることなく続きます。1時間でいいからぐっすり眠りたい。体を休めたい。そう思っても、洗濯、掃除、食事の用意、上の子の世話など、やらなければならないことが際限なく続きます。手助けしてくれる人がいなければ、どうにもなりません。心も体も壊れてしまいます。
 かつては親族や地域の人たちに支えられていた妊娠・出産・育児ですが、今は事情が違っています。
実家から離れたところで生活している、親世代も働いていたり、家族の介護をしている、親も高齢になっている、夫も仕事が忙しいなど、家族を頼れないケースが増えています。親子の関係に事情を抱え、親を頼れない妊産婦も少なからずいます。身体的、精神的に不安定な時期に、家族等の支援が十分に得られない中、産後うつの状況も深刻になっています。さらにコロナ禍で里帰りが出来ない、親に手伝いに来てもらえない人が増えています。
 
 現在、長野市では産褥期に利用できるサービスとして、「産後ケア事業」、「養育支援訪問事業、」「ホームスタート」がありますが、育児や家事を手伝ってもらえるサービスが足りないと感じます。
たとえば、松本市には「育児ママヘルプサービス」という育児支援があります。核家族等で育児協力が得られない方や多胎で出産された方を対象に、助産師が自宅を訪問して沐浴、おむつ交換、授乳に関する援助、育児に関する相談助言などを行うもので、1時間800円で利用できます。
また伊那市には「ママヘルプサービス」という家事支援があります。核家族等で産後の回復期に手伝ってくれる人がいない方、多胎で出産された方を対象に、ホームヘルパーを派遣し、食事の準備や片付け、買い物、部屋の掃除、洗濯等の家事支援、授乳や沐浴の介助、おむつ交換など育児支援を行うもので、1時間500円で利用できます。
 
 長野市の「養育支援訪問事業」は主に「初めまして赤ちゃん事業」を通じて必要と認められた家庭が利用申請できますが、令和2年度の「初めまして赤ちゃん事業」の訪問延べ件数2,643件のうち、生後4週までの訪問数は476件の18%です。退院直後から4週目までの一番大変な時に制度を利用できる人は少ないです。また、対象者の条件として「未成年の妊婦」「妊娠検診をしていない妊婦」「子育てに強い不安があり、孤立感を感じている」「不適切な養育状態にある」「児童養護施設等を対処した児童がいる」などが並んでいてハードルが高いと感じます。核家族等で育児協力が得られないという理由だけでも利用できるか聞いたところ、核家族で育児協力が得られないことにより「育児がつらい、精神的に追い込まれている」という状態の方に対しては先ず相談をしていただいて保健師の訪問などにつなげるとの答弁でした。

 出産後のお母さんの体の回復ペースは一人ひとり違います。育児環境もさまざまです。どんなお母さんのSOSにも応えられるサービスが長野市には必要です。
 
 もう一つは妊娠届提出時の面談について質問しました。
長野市では、妊娠届け提出時に面談をすることになっていますが、支所で届けを出した場合は、アンケートに自分で記入して提出するだけとなり面談はありません。アンケートを見て心配な事がある場合には、保健センターから後日電話をすることになっています。
 令和2年度に支所窓口で受け付けた712件のうち、保健センターから妊婦に連絡した件数は75件でした。
アンケートはA4半分のごく簡単な内容です。これではリスクがあっても見逃される恐れがあるのではないでしょうか。
 以前の個人質問で須坂市、和光市、秋田市での母子健康手帳交付時の面談についてご紹介しましたが、他の自治体でも面談を重視した取り組みがなされています。
 東京都杉並区では、全ての妊婦対象に「ゆりかご面接」を行っていて、出産・子育てまでの過ごし方を一緒に考え、これから必要になるサービスなどをまとめた「ゆりかごプラン」と「困ったときに役立つ!妊娠中・出産後に使えるお助けサポートブック」を渡しています。「ゆりかご面接」を受けると、子育て応援券「ゆりかご券」をもらう事ができます。「ゆりかご券」は妊娠中から地域の子育てサービスを利用することで、地域のつながりを持ち安心して子育てが出来ることを目的としています。利用できるサービスは、タクシー券、産前・産後の日常生活のお世話、自宅での家事援助や赤ちゃんのお世話、上の子のお世話、親子の集い、産前産後の身体を動かす講座、マタニティーヨガ、助産師による母乳相談、ベビーマッサージなど多岐にわたり、自分で選んで使う事ができます。応援券が利用できるサービスは、子育て家庭が地域の中でいろいろな人と関わりながら子育てをするきっかけとなるものとし、杉並区が登録基準を決めています。そのサービスを提供できれば、小さな団体でもサービスの提供業者として登録できます。どのサービスを利用するかは利用者自身の選択となります。
 
 妊娠・出産は、これからどんなことが起きるのか予測ができません。面談することで、特にリスクが大きい妊婦の方でなくても、誰もが気軽に頼っていいんだと思える体制をつくることが必要です。
 長野市でも面談を全員に出来るように、妊娠届けは市役所、保健所、保健センターを基本とし、支所で出した場合は後日面談をする。来られない場合は訪問することを提案しました。支所は利便性がよいということはありますが、面談の重要性をきちんと広報し、それが浸透すれば理解されると思います。面談の内容は杉並区のように妊婦に寄り添った充実したものにする必要があります。そして、一人ひとりの妊娠・出産プランをつくることで、出産やその後の流れのイメージがわき、準備しておく必要がありそうなことや利用できるサービスを教えてもらえる。スタートで親切にアドバイスしてもらうことで、その後も相談しやすくなります。市としても妊婦の情報を得ることが出来、今後の見通しも立てることができます。また、杉並区のように子育て家庭が地域の中でいろいろな人と関わりながら子育てをするきっかけとなるものとしてサービス提供者の登録基準を決めるという視点も大いに参考にすべきと思います。
 
 「出産は病気ではないんだから」「母親だったら子どもの世話ができて当たり前」「家事や育児を、お金を払ってやってもらうなんて」そんな心無い言葉を聞くことがあります。だから多くのお母さんたちは、ケアを受けることをためらったり、あきらめたりしてしまいます。もっとケアを受けやすい環境をつくっていく必要があります。お母さんが健康を回復して赤ちゃんを元気に育てるために、「ケアを受けていいんだよ」「休んでいいんだよ」というメッセージがもっと必要です。そのためにも、妊娠届面談時にお母さんと一緒に「サービス利用プラン」を作成し、その後も必要に応じてプランの見直しを行えるような体制を整備する必要があると思い、市の考えを聞きました。
 
 長野市の妊娠届け出時のアンケートは、長野県が推奨する「育児支援チェックリスト」を参考に妊婦の支援に詳しい精神科医の協力で作成をしているとのこと。簡単な内容にしているのは、記入する際の妊婦さんの心理的なものを含めた負担の軽減のためで、質問項目は必要最小限の5項目「妊娠が分かった時の気持ち、病気の有無、相談相手、育児を手伝う人、現在の困りごと、悩み」にしているそうです。このアンケートは、妊娠届け出の場所に関わらず全ての妊婦さんに実施していて、その結果は、職員による判断の違いが生じないよう、アンケート内容を確認するポイントを定めたマニュアルを作成し、支援が必要な妊婦さんの判断をしているとのことです。
 妊娠届け出時の全員の方の面接については、専門的な指導をおこなうために、保健センターまたは保健所、本庁への届け出を市民の方に呼びかけていますが、一方で、妊婦さんの利便性の観点から支所への届け出についても受付を行っているとのこと。支所への届け出の割合は平成27年度57%から令和2年度26%になり、保健センター等への届け出が浸透してきているそうです。妊娠届け出時の全数面接を目指してどの様な方法が適当なのか検討していきたいとの答弁でした。
 また長野市では、妊娠届を出されたすべての方に「マタニティノート」を配布して妊娠、出産に関して利用できるサービスの情報提供していて、ノートに貼付の「子育てセルフプラン」を記入するように促し、母子保健コーディネーターや保健師の面接時にそのノートを活用して訪問指導や産後ケアなどその方に必要なサービスについて一緒に考えてアドバイスをおこなったり、関係機関等につないだりしているとのことで、今後も関係機関と連携して充実させたいと考えているそうです。

 ひとりで頑張る子育ては辛いです。苦しいです。
支えてくれる人がいれば、心に余裕が生まれて「可愛い。愛おしい。」という気持ちが湧いてきます。
母子を支える仕組みづくりを急ぐよう強く要望しました。

 

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