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日本が子どもの権利条約を批准した1994年から30年が経過しましたが、子ども若者の自死、児童虐待、子どもの貧困、いじめ、不登校など、子どもたちが置かれた状況には改善の兆しが見られません。2023年4月、ようやく子ども基本法が施行されました。国はもちろんのこと、実際に子どもが暮らしているそれぞれの自治体が、子どもの権利条約の理念を政策として具体化し、着実に進めることが急務となっています。
これまで長野市は、「長野県に条例があるので、長野市独自の子どもの権利条例は必要ない」という立場をとり続けていましたが、昨年5月、青木島遊園地廃止問題への対応として荻原市長が「こどものびのびビジョン」を公表し、その中で「子どもの権利を守る条例の制定に向け、議会と協議を進める」との方針が示されました。
それを受けて、令和6年2月から現在までに、市こども未来部と全市議会議員を対象とする勉強会(非公開)が3回開催され、今後は、市こども未来部が市議会福祉環境委員会と相談しながら条例作りを進めていくとの方針が示されています。
子どもは社会的、経済的な力を持っていないので、人権侵害を受けやすく、常におとなよりも弱い立場に置かれています。自分が権利侵害を受けていることに気付けないケースも多くあります。ですから、子どもの身近なところに、子どもの権利を擁護し、救済するための仕組みが必要です。
1999年、兵庫県川西市が日本で初めて、条例に基づいて子どもの人権オンブズパーソン(第三者機関として子どもの人権擁護救済を独立して行う)を設置し、これがモデルとなって川崎市、世田谷区などにも広がり、現在は50以上の自治体に設置されています。
松本市でも、平成25年施行の「子どもの権利に関する条例」に基づいて「子どもの権利擁護委員」を設置し、付属機関として子どもの権利相談室「こころの鈴」を開設して、第三者機関として公正中立の立場で子どもの話を聴き、子どもが自らの力で権利を守れるようサポートを続けています。
長野市でも、子どもの権利を守るための条例により、新たな権利擁護の仕組みを設置する考えがあるか、問いました。
【こども未来部長の答弁】子どもの権利擁護に関する相談機関窓口としては、長野県子ども支援委員会があり、本市では、こども総合支援センター「あのえっと」が取り組んでいる。法務大臣に委嘱されている人権擁護委員、法務局による子どもの人権110番、県弁護士会による子どもの人権無償相談が設置されている。新たな権利擁護の仕組みを構築するのか、既存の取組を生かして運用していくのか、条例の検討過程で議会と一緒に考えていく。
【質問を終えて】市こども未来部と全市議会議員をメンバーとした3回の勉強会(非公開)では、第三者機関として子どもの相談・権利擁護・救済を行う仕組みを持つ自治体の条例を学ぶ内容は、全く含まれていませんでした。長野市のこども総合支援センター「あのえっと」は、第三者機関として中立の立場で子どもの権利を守る機能を持っていません。第三者機関として活動する「子どもオンブズパーソン」が実際、どのようにして子どもの権利を守っているのか、長野市の既存の仕組みとは何が違うのか、まずは市も市議会も、学ぶ必要があります。
子どもの「苦しいよ。助けてよ。」という声に応えられる条例を作らなければなりません。
タグ: 子どもの権利条例, 長野市, 子ども基本法, 子どもオンブズパーソン, こども総合支援センター「あのえっと」