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活動報告

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3月定例会個人質問では学校マイプランの予算減額について コミュニティーソーシャルワーカーについて 女性相談員について質問しました。質問と答弁の要約を掲載します。

インターネット録画中継はこちらからご覧いただけます。

質問①学校マイプランの予算減額について

 学校マイプラン推進事業は、子どもや地域などの実態に応じた学校ならではの特色ある教育活動を進め、総意工夫を活かした活動を実践するための市内全小中学校への補助金です。ある中学校では、華道クラブの講師やプロダンサー講師への謝礼、総合学習の成果をまとめた冊子を地域に配ったり、チラシを回覧してもらうための作成費などに補助金を利用しています。子どもたちの学習を深める過程では、予算にない費用が必要になることがあるため、柔軟に使えるこの補助金はとても有効です。しかし実際はこれでは足りず、外部の補助金を申し込むなどの努力もしているそうです。学習指導要領が改訂され、学校現場では「知識注入型から、主体的、対話的で深い学びへの転換」が進められており、この補助金は今後益々必要になるでしょう。ところが平成30年度から令和2年度は1校5万円だったものが、令和3年度、4年度には4万5千円となり、令和5年度予算案では4万円に減額されています。その理由と子どもたちの学びへの影響を教育委員会に聞きました。

教育委員会教育次長の答弁は、学校マイプラン推進事業の必要性について十分認識しているが、予算編成にあたり、学校教育活動全般の中から優先すべき事業を教育費全体の中で精査した結果として減額となった。現在教育全般の中で学校から多く寄せられている要望は、個別支援に関わるものであり、具体的には特別支援教育、特別教育支援員の配置や不登校対応に関わる専門化の配置等である。先ずは要望の多い部分について予算編成をした。というもので、子どもたちの学びへの影響についての答弁はありませんでした。

 市長には、教育委員会が子どもたちに必要な予算を削らなくてよいように予算付けする事を要望すると同時に、市長の考えも聞きました。

荻原市長の答弁は、令和5年度当初予算の教育費については、小中学校の大規模改修など公共施設長寿命化枠37億円を除いたとしても、前年度と比較しておよそ14億円増を確保した。子どもたちの学びに要する必要な経費は計上できたと考えている。というものでした。

 令和3年度に行われた「長野市子どもの生活状況に関する実態調査」では、経済的に苦しい子育て家庭の実態が明らかになっています。市が子どもたちの学びに必要な予算を削れば、学校は学年費を上げて対応せざるを得ないでしょう。あらためて補助金の減額はやめるよう強く求めました。

 教育費には、芸術館やオリンピック施設をはじめとする大規模施設の管理運営や改修にかかる経費も含まれています。総額が増えたとしても、その中身はどうなのか見ていく必要があります。

 

                                    

質問②コミュニティ・ソーシャルワーカーについて

 2015年の介護保険法改正に伴い新設された「介護予防・日常生活支援総合事業」では、要支援1、2までが「軽度者」として市町村の事業に移管され、地域住民のボランティアが総合事業のサービス提供者として組み込まれました。長野市では住民自治協議会の地域福祉ワーカーが生活支援コーディネーターの役割も担うこととなりましたが、地域福祉ワーカーは福祉の専門家ではありません。その役割や負担増について、都市内分権審議会や社会福祉審議会地域福祉専門分科会、パブリックコメントや住自協アンケートなどで疑問や意見が多数寄せられ、地域福祉の推進を住自協に「丸投げ」されても出来ない、困っている、という訴えも数多く出されました。その結果、第4次地域福祉計画では地域福祉を推進する体制を再構築するための要として、令和4年度から市社会福祉協議会が専門知識を有するコミュニティ・ソーシャルワーカーを2名配置し地域福祉ワーカーを支援すること、令和8年度の配置目標人数を7人とし、住自協のブロック毎の配置を具体的に検討することが盛り込まれました。それにも関わらず令和4年度予算にはコミュニティ・ソーシャルワーカーの人件費は付けられず、社協の職員2名(まいさぽの所長と地域福祉課の主幹)で激務。この方たちが兼務で務めることになりました。そして、令和5年度予算案においても予算はつけられていません。地域福祉計画は上位計画であり、そこで地域福祉を推進、再構築するために必要不可欠とされたコミュニティ・ソーシャルワーカーの予算をつけないのは何故なのか、また令和8年度に7名という目標の実現に向けて、具体的にどのように進めていくのか質問しました。

中澤保健福祉部長の答弁は、コミュニティソーシャルワーカー(以下CSW)の予算について介護保険制度の改正に伴い、地域福祉ワーカーに新たに生活支援コーディネーターの役割が加わり、負担が増している等との指摘を受け、市社協はCSWの役割の一部を担う職員2名を兼務により配置している。CSWは地域福祉ワーカーの支援に加えて、市社協の地区担当職員の支援にあたるとともに、今後は地区の枠組みを超えた課題解決や、地域のネットワークづくりを支援する役割を担う。そのためCSWには社会福祉士などの専門的技術はもとより、豊富な実務経験が求められ、即戦力となる人材を確保する上で諸課題があり、また市社協では地区担当職員をCSWの候補として育成していく方針であると聞いている。このような理由などから来年度の当初予算のCSWの増員に係る人件費分の予算を見送った。

令和8年度までに7名配置の目標実現に向けてどのように進めるのかについて今年度市社協と共に地区訪問を行い、各住民自治協議会のみなさんと地域福祉に関わる意見交換をあらためておこない、CSWの在り方についても議論を深めてきた。住自協からは、CSWに対する期待の意見が寄せられた一方で、実務経験が長い地域福祉ワーカーがいる住自協からは、市や市社協と協力、連携し、地区の地域福祉活動に基づき着実に事業を推進しており、CSWによる支援の必要性をあまり感じていない地区もあった。なお、市職員や市社協の地区担当職員がより積極的に地区の中に入って地域福祉ワーカー等と緊密に連携するといった要望をされた地区もある。こうした状況をふまえてまずは、地域福祉ワーカーのスキルアップをはかる取り組みを進めるとともに、市職員や市社協の地区担当職員の人員体制の在り方も含め、CSWの増員について引き続き必要な人員確保に向け市社協と協議、検討を進めていく。というものでした。

 コロナ禍で外出の機会が減ったことによる高齢者の認知機能や身体機能の低下が全国的に問題となっています。長野市における認知機能や身体機能の低下に関する相談状況とコロナ禍の影響についても聞きました。

中澤保健福祉部長の答弁によると、市内21か所の地域包括支援センター等で受け付けた認知機能の低下に関する相談は、コロナ禍前の令和元年度は、のべ3,904件、令和2年度は4,603件、令和3年度は5,539件。今年度は12月末現在で、のべ4,730件となっており、前年度の相談件数を上回る予想。身体機能の低下に関する相談も受け付けているが、統計上の把握はしていない。コロナ禍の影響については、令和3年8月に市内高齢者2,000人におこなったコロナフレイル実態調査では、コロナ禍の影響で外出する回数が減ったと回答した割合は約7割に上る。また体力の低下や、物忘れが気になっていると回答した人の内、コロナ禍を理由に他者との交流を自粛している方が2割程度、月1回以上の活動等に参加しなくなった方が1割程度いるとのことでした。

 コロナ禍で地域の集まりができない期間が続き、元気に過ごせるはずだった人が弱ってしまったということが起こっています。改めて、地域の中に身体や心を動かして人との交流を楽しみ、生き生きできる場があることが、介護予防にとっていかに大切かがわかります。高齢者が元気に心豊かに過ごすために、地域に入っていって高齢者自身が元気になれる活動や場を一緒につくる、その役割を担うのが生活支援コーディネーターです。さらに、生活支援コーディネーターには、「日常生活上の掃除、洗濯、調理、買い物をする家事援助に限らず、多様な生活支援、介護予防サービスを創っていく」という役割もあります。市は、この2つの重要な役割を住自協の地域福祉ワーカーが担うと決めていますが、住自協からは、このような専門性の高い役割を担うのは無理がある、という切実な声が上がっているのです。「困ったら兼務のコミュニティ・ソーシャルワーカーがアドバイスします」では全く不十分です。日常的に地域に入り、地域福祉ワーカーと一緒に地域づくりを進めるコミュニティ・ソーシャルワーカーが必要なのです。にもかかわらず予算化されない現状について、市長の考えを聞きました。

荻原市長の答弁は、先ほど保健福祉部長が答弁した通り。コミュニティソーシャルワーカー(CSW)には、高い専門性と豊富な実務経験などが求められる。即戦力となる人材を採用していくことや市社協が地区担当職員を育成することにあたっては、ある程度期間を要するものと考える。引き続き社協と緊密に連携をはかりながら、第4次長野市地域福祉計画に掲げたCSWの適正配置に向けて計画的に取り組んでいく。というものでした。

 令和4年度の社会福祉審議会老人福祉専門分科会では、ひとり暮らし高齢者友愛活動事業の令和6年度の見直しに向けて検討が行われました。市からは、対象者要件の70歳から75歳への引き上げや、補助対象の見直し案が出され、委員からは補助金額が少ないことや、孤立、孤独を防ぐ目的であるのに年齢を引き上げることなどへの疑問も出されました。これはまだ検討段階ですが、それにしても市の示した案は、時代に逆行しているのではないでしょうか。こういった活動を縮小させることが、人々の生活にどんな影響を及ぼすか、真剣に考える必要があります。介護は高齢者の問題だと思われがちですが、それは違います。必要な介護が受けられないために家族が介護離職したりヤングケアラーになったり、現役世代や子どもたちの生活にも大きく関わる問題です。介護保険制度は開始から22年が経過。改定の度に給付抑制や負担増の議論が繰り返され、現在、2024年度改定に向けて、認知症の人が大幅に増える要介護1,2についても「軽度者」として自治体まかせの総合事業に移管することが検討されています。早急に地域での介護について取り組み、備えていかなければ、多くの市民の生活が破綻してしまいます。専任のコミュニティ・ソーシャルワーカーを設置できるよう予算付けすること、令和8年度7名設置に確実に取り組むことを強く求めました。   

③女性相談員について

 婦人相談員は、売春防止法に基づき都道府県では義務配置、市区では任意配置となっていて、長野市では福祉事務所所属の女性相談員がこれに当たります(男女共同参画課の女性相談員とは別)。厚生労働省の「婦人相談員相談・支援指針」によると相談内容は「DV被害・ストーカー被害」「性暴力被害」「売買春による被害」「住居喪失」「若年ゆえの生活困窮」「予期せぬ妊娠・出産」「精神疾患や知的障害」「家庭不和・離婚」「母子家庭の生活困難」「外国にルーツを持つ者の生活困難」「男性のDV被害」「セクシュアル・マイノリティ」「同伴する子ども」など14項目にも及びます。電話相談・来所相談・訪問相談・同行支援など、相談者に寄り添いながら、必要に応じて他分野・他機関と連携・協働して社会資源をコーディネートし、新たな生活再建や心身の回復に向けた支援、一時保護や危機介入等が必要な要保護性・緊急性の高い相談者への安全確保に向けた支援などにもつなげる包括的な役割を担っています。女性相談員は、相談員自身が加害者等からの危険に晒されるリスクが高く、また、過酷な経験をした相談者の話を日々聴くことや、DVや性暴力被害等、相談者の被害体験を聴くことで、相談員自身に精神的・感情的な影響が出る二次受傷のリスクにも晒される、大変な負荷のかかる仕事です。長野市の女性相談員について、現状と課題を聞きました。

日台こども未来部長の答弁は、女性相談員については、子育て家庭福祉課に1名。福祉政策課篠ノ井分室に母子父子自立支援員を兼ねた1名の計2名を配置。共に会計年度任用職員。女性相談員の役割としては、困難を抱える方の支援のための生活や離婚相談、配偶者からのDV相談をはじめ、新たな生活再建のための生活保護申請や生活資金借り入れ、離婚に係る弁護士相談や家庭裁判所への同行支援等が主なもので、女性相談員の役割は多岐にわたっている。また女性相談員が受ける相談件数については、令和3年度が1,755件で前年度の1,455件に対して約1.2倍に上るなど、複雑な家庭環境を背景に相談件数は年々増加傾向にある。女性相談員の役割は、包括的であるのに加え、相談内容によっては相談員自身が二次受傷を受ける可能性があるなど心身に大きな負担がかかる仕事。そのため本市では女性相談員1人に過度な負担がかかることのないよう、正規職員も一緒にチームで対応している。課題としては、多様化・複雑化した相談に対応するためには、女性相談員に専門性と経験が求められるため、人材確保と人材育成が重要であり、加えて相談支援体制の強化が課題と認識している。というものでした。

 困窮1人親世帯が増える一方で収入が増える世帯も増加し、格差が広がっています。社会が傷み、分断が広がる中、女性の抱えている問題にもっともっと取り組む必要があります。これは子ども達を守るためにもこれは必要ですが、今の体制では全く足りません。女性相談員は資格があればすぐできる仕事ではありません。多様化・複雑化・複合化した問題に対応するためには、高度な専門性と人権意識、そして経験が求められます。このような重責を担っていますが、長野市では女性相談員は二人とも会計年度任用職員です。早急に女性相談員を増員し、現在の相談員と一緒に仕事をする中でスキルを学び受け継ぐことが必要です。女性相談員自身を二次受傷やバーンアウトから守る環境を作るためにも複数体制が必要です。相談体制をもっと厚くすべきと求め、市長の考えを聞きました。  

荻原市長の答弁は、令和3年度の相談件数1,755件のうち2割程度が配偶者からのDV相談であり、困難を抱える方への支援の必要性が見て取れる。相談内容も緊急性、専門性が増す中で、より過酷で壮絶な相談もある。また、女性相談員の心身にも大きな負担がかかっていると感じている。女性相談員の相談スキルや技術の継承を見据えながら、まずは女性相談員の処遇改善および増員による体制強化とチーム全体の対応力向上に向けた人事育成について今後具体的に検討をすすめたい。と前向きな答弁がありました。あらためて早急な対応を求めました。

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